恋する僕らのひみつ。




だけど俺は、照れくさくてすぐに目をそらした。



『あ、だからその……このまえ手当してもらったし……』



『ありがとう。その言葉だけで十分だよ』



奈乃は微笑んだあと、遠くを見つめて言った。



『浦中くんのこと、ずっと前に見かけたことがあったの』



『え……?』



『川に落ちちゃったネコ、助けたことあったでしょ』



『いちいち覚えてなんか……』



『あのとき、橋の上から見てたの。通り過ぎていく人たちはみんな見て見ぬフリで、奈乃が急いで川のほうに行こうとしたら、浦中くんが川の中に入っていった』



『べつに俺は……』



『ほっとけなかったんでしょ?誰だって心配することはできるけど、助けようとするのは本当に優しい人だと思う』



そんなふうに俺を見てくれる人なんて、いままでいなかった。



『このまえのケガの手当ては、ネコを助けてくれたお礼』