恋する僕らのひみつ。




そんなことも知らず、俺は初めて会ったとき、



傷の手当てをしようとする奈乃の手を跳ねのけてしまった。



『いいって、たいしたことねぇから』



『うちのお母さん……看護師なんです』



『は?だからなんだよ』



『こんな大ケガしてるのに、無視できるわけないでしょ?』



奈乃は、強引に傷の手当てをしはじめた。



『どうしてこんなケガしたんですか……?』



『ただのケンカだよ』



口の横に絆創膏を貼ってくれたあと、奈乃は俺をまっすぐに見つめた。



『ケンカ……』



『悪いかよ?』



『人を傷つけて、なんとも思わないの……?』



『ん……べつに』



そう言って俺は、奈乃から視線をそらした。



『……うそつき』



『は?』



『知ってるんです』



そう言って奈乃は、立ち上がった。



『あなた、本当は優しい人だもん』



そう言い残して、奈乃は去っていった。



『なんなんだよ……あの女。ヘンな女……』



――だけど、あの日から俺は……奈乃のことが忘れられなかった。