『……なんともねぇから』 『なんともないって……こんな大ケガしてるのに……』 奈乃は俺のそばに座り、 肩にかけていた鞄の中から、ハンカチや絆創膏、消毒液などを取りだした。 『なんで、そんなもん持ち歩いてんの?』 『自分もよくケガするので……』 この言葉の意味を知ったのは、奈乃と付き合いだしたあとだった。 中学の頃、奈乃は学校でいじめにあっていた。 ひどく傷つけられて、ケガをすることもあったんだと思う。