「ごめん、奈乃。あたし湊のこと下で待たせてるんだった」 あたしは奈乃の体をそっと離した。 「そうだったの?早く行ってあげて」 奈乃は涙をぬぐって微笑む。 「ごめんね、奈乃。また夜に電話するからっ」 「うん」 あたしは自分の席にいき、机の中に忘れていたケータイを制服のポケットに入れた。 「バイバイ、結雨ちゃん」 「うん、バイバイっ」 奈乃を残して、あたしは教室を出ていった。 廊下に出ると、階段のほうに消えた人影が一瞬だけ見えた。