ゆっくりと雲が流れるオレンジ色に染まった空の下、
グラウンドからは、野球部の威勢のいい声が聞こえてくる。
あたしは、グラウンドの隅でピッチングの練習をしている快の姿を見つけた。
「快、野球部に戻ることになってよかったね」
あたしの言葉に、奈乃はうれしそうに微笑んでうなずいた。
快に、なにがあったのかはわからない。
連休前までは、野球部には戻らないと頑なに意思を変えなかった。
快から聞かされた悲しい過去も。
快が野球部を辞めた理由も知った。
だけど、それでも諦めてほしくなかった。
泣いても笑っても、この夏が最後の大会になる。
快の夢を叶えるには最後のチャンスだった。
このまま諦めてほしくなかった。
本当は迷ってることも。
いまでも野球が好きだってことも。
快を見ていれば、わかった。
だから連休明けに、快が野球部に戻ると聞いたとき、
あたしはすごくうれしかったんだ。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
