「あっ!」
「あ?どーした」
……いままで気づかなかったなんて。
「教室にケータイ忘れてきたみたい」
「資料室じゃねーの?」
「ううん。絶対に教室。先に下駄箱行ってて」
「ホント抜けてんな」
「うっさいわ」
その場に湊を残して、あたしは階段を急いで駆け上がっていく。
誰もいない静かな廊下を走って、3年3組の教室に向かう。
……あれ?
開けっぱなしになっている3組の教室のドアから、
教室の窓辺に、ひとりで立っている女の子の後ろ姿が見えた。
教室には、他にもう誰も残っていない。
「奈乃っ」
あたしが後ろから声をかけると、窓の外を見ていた奈乃が振り向いた。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
