「夢……このままあきらめていいの?」
「夢なんてさ、叶わないから夢なんだよ」
「そんなの快らしくないよっ」
いつも穏やかで優しい奈乃が、珍しく大きな声を出した。
「快らしく……ない……」
奈乃は下唇を噛みしめながら、うつむいた。
「野球……好きでしょ?好きなのに、最後の夏なのに……本当にあきらめてもいいの?」
「俺のことで、奈乃がそんなマジになんなって」
「……なるよ。快は……快は友達だもん。大切な友達だもん。みんな心配してるんだよ」
「俺は……」
「あきらめないで」
「……さんきゅ。でも俺の気持ちは変わんないから……ごめん」
本当は、迷っていた。
野球部に戻るか、戻らないか。
だけど、四葉の顔が浮かぶたび、
四葉の手のことを思うたび、胸が苦しくて張り裂けそうになる。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
