「え?何を?」
「とぼけないでよ……。わかってるでしょ?」
奈乃は真剣な顔で、俺の瞳をまっすぐに見つめる。
わかってる。
連休明けには、返事をしなければならない。
バッテリーを組んでいたやつに、野球部に戻ってきて欲しいと言われている。
最後の夏の大会、一緒に野球がしたいって言ってくれた。
自分勝手な理由で野球をやめた俺に対して、そんなふうに言ってもらえるのは本当にありがたいことだと思う。
だけど、いまさらもう……。
「野球部には戻らないよ」
「……それが快の答えなの?」
「うん」
「本当は迷ってるんじゃないの?」
そう言って奈乃は、俺の腕をぎゅっと掴んだ。
本当は……。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
