四葉には会えないまま、俺は病院をあとにした。
晴れわたった夏空の下、蝉の声だけしか聞こえない静かな道を歩いていく。
“あの子は、自分の弱いところを人に見せられない子なの”
四葉の母親に言われた言葉を忘れられなくて、苦しくて。
『四葉が、なにしたって言うんだよ……』
なんで、こんな残酷なことするんだよ。
あの夜、一体なにが……?
四葉になにがあった?
四葉が小さいころから続けてきた大好きなフルート……。
夢を叶えるために、ずっとがんばってきたのに。
俺が約束守れなかったせいで、こんな……。
そのとき、橋の向こうから叫び声が聞こえた。
『お――いっ!快―――っ!』
琥都と奈乃だった。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
