俺たちは少しの間、グラウンドの隅に座ったまま話をした。
『どしたの?元気ないね』
『俺……中学でもう野球やめよっかな』
『え……?なんで?だって、甲子園に行く夢は?』
いつも眩しいくらい、まっすぐな彼女に、俺はつい弱音を吐いてしまった。
『無理だよ。俺の行く高校って、甲子園に一度も出たことない高校だし、甲子園の常連校なんかに勝てるわけないって』
ちょうど他校との練習試合に負けたあとで、俺はさらに自信をなくしていた。
『高校で野球続けたって、甲子園なんて夢のまた夢だと思う』
『そんなことないよ』
『最近思うんだよな。叶わない夢なんて、追いかける意味あんのかなって……』


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
