恋する僕らのひみつ。



「いきなりそっち系の質問かよ~。おまえセンスあるね~。うぇーい」



くぼっち先生は、扇原くんの席まで歩いていき、扇原くんとハイタッチをした。



なにこのテンション……。



「結婚は残念ながらまだしてないけど、高校時代から付き合ってる彼女がいるよ」



先生の恋愛話に、扇原くんは「ぴいーっ」と指笛を吹いて盛り上げる。



「どーも、どーも。ところで指笛うまいな」



そう言いながら先生は、教卓の前に戻ってきた。



「えー、ところでだ。みんなに聞いて欲しいことがある」



先生は真剣な表情で言った。



「奇跡が起こったんだ」



奇跡……?



「実はな、先生はこの北十字高校の卒業生なんだ」



……へぇ。



あたしの後ろの席に座っている浦中くんが、突然吹きだして笑う。



「ぶっ……マジで、どーでもいいわ」



「おいおい、うそだろ。みんなシーンとしちゃってさぁ。もっと驚いてくれよ。自分の母校で先生が出来るなんて、奇跡だろ?」



「ふふっ。よかったね、おめでとっ」



そう大きな声であたしが言うと、先生は満面の笑みであたしに向かって親指を立てた。



「ありがとうっ!」



この人……先生っぽくないけど、大丈夫かな。



でも、なんだか楽しいクラスになりそう。