その聞き覚えのある、怒りのこもった声に振り返ると、 体育館の開いているドアにもたれた湊が、思いっきり不機嫌そうな顔をして腕を組んで立っていた。 あたしの前に立っていた後輩の男の子たちは顔色が変わり、小声で話す。 “おまえ知らなかったのかよ?この人、朝霧先輩の彼女だぞ?” “マジ?やっべ。知らなかった。早く言えよ” “ほら、俺らが入学前の文化祭で……聞いたことあんだろ?” “伝説の2年連続の1位の人?どうりで” ちょっと待て。あのクソイベントが新入生の間で伝説扱いになってるんですけど。