――快の過去を知った。
人は、楽しいから笑うんだって……そう思ってた。
快は、出逢った頃からいつも明るくて、笑顔が絶えない人だった。
だけど、いつも周りを楽しませてくれる快は、
彼女のことで、ずっと苦しんでいた。
自分を責め続けていた。
彼女のことが、いまも変わらず好きで。
忘れられなくて。
悲しみを癒すことができなくて……。
いつもそばにいたのに、どうして気づけなかったんだろう。
快がいつも笑顔でいた理由を。
笑ってないと、悲しみに押しつぶされてしまうから。
笑ってないと、苦しくて泣きそうになるから。
だから快は……。
いつも笑ってた。
それが快なんだ。
楽しいとき、うれしいとき、人は笑う。
だけど、まわりの人を心配させないために。
つらい気持ちや悲しみを隠すために。
本当の自分を隠すために。
笑っている人だって……いる。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
