「はいはいはーい、どーもー」
と、明るい声で教室に入ってきたのは、担任の男の先生。
なんか元気。なんか若い。
新任の先生だ。
「席に着いたかー?はい、2年3組の担任を受け持つことになった……」
先生は黒板に自分の名前を書き始めた。
“久保寺 暁”
くぼでら……名前は何て読むのかな?
「えー、名前は“くぼでら あき”。先生のことは“くぼっち”と呼んでもかまいません」
いきなり自分をあだ名で呼べという斬新な先生に、教室内はクスクスと笑いが起こる。
「えーと、教科は体育。それから年齢はピチピチの24歳」
先生の明るい口調と時折冗談も混ざり、クラスの雰囲気も一気に和やかになった。
「教師になって初めて担任を持つことになったから、すっごく張り切ってます」
「質問いいですかー?くぼっち先生は、結婚してますかー?」
そう大きな声で聞いたのは、この列のいちばん後ろの席に座っている扇原くん。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
