「ねぇ、お母さん。お父さんのことは……?もう忘れたの……?」 お母さんは忘れたの? 死んだお父さんのこと、もう忘れちゃったの? あんなに仲良しな夫婦だったのに。 「天国にいるお父さんが、かわいそうだよっ」 そう言ってあたしは自分のカバンを持って、レストランの出口のほうへ走っていく。 「おいっ、結雨っ」 後ろから聞こえた湊の声にも振り返らず、あたしはそのままレストランを出ていった。