呼吸を整えたあたしは立ち上がり、
湊のうしろ、廊下側の前から2番目の席についた。
教卓の前に立つくぼっちは、出席簿を見つめる。
「じゃ、出席とるぞー。はい、そうゆうことなのかーい」
3年になったら、5人まとめて呼ぶんかい。
「雑っ!ちゃんと呼んで?」
そう大きな声で言ったのは、廊下側のいちばんうしろの席に座っている快。
すると、今度は急にラッパーのような動きをするくぼっち。
「そう、ゆう、こと、なの、かい、イエー」
「……ねぇ、またヘンな空気になったよ?くぼっち」
机に頬杖をつくあたしは、あきれたようにため息をつく。
「俺、大学時代にDJやってたんで。イエー」
ぜったい、嘘だ。
朝から平気で生徒に嘘をつく、これでも教師。
「おまえらがノリ悪いから、また俺がスベッたみたいな空気になるじゃーん」
とっても面倒くさい教師。
べつに悪い人ではないんだけども。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
