「結雨」
湊に名前を呼ばれるだけで、ドキドキする。
湊の顔がゆっくりと近づいてきて、
あたしは瞳を閉じた。
「結雨……っ」
もう一度名前を呼ばれた瞬間、優しいキスをされた。
キスをすると、魔法にかかったみたい。
一瞬で何も考えられなくなる。
そっと唇が離れると、
あたしたちは、お互いの息を感じるほどの距離で見つめ合う。
「……んっ」
そのあとも、キスをした。
息も出来ないくらい、
何度も、何度も。
「湊……っ……ここ、学校だってわかってる……?」
「嫌なら、よけろよ」
「……ずるいよ」
嫌なんじゃない。
あたしの心臓が持たないだけ。
「そんな瞳で見んな」
あたし、たぶんいま……
顔、真っ赤だ。
「よけねぇの?」
あたしの耳元で囁く湊は、あたしの髪にスッと指を通す。
「いじわるしないで」
耳に優しくキスされて、胸がぎゅっとなる。
「好きだから、いじめたくなんだよ」
根っからの悪魔じゃん。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
