「結雨ちゃんは、朝からずっと頑張ってたから、ゆっくり休憩してて?」
「ホント優しいよね、奈乃は。快にバーカって言っといて」
「ふふっ、わかった。行ってくるねっ」
奈乃はあたしに手を振って、琥都と一緒に教室を出ていった。
あたしは窓から、他校の女子に話しかけられている湊を見つめる。
「めっちゃ嫌そうな顔してる」
まぁ、デレデレしてたら許さないけどね。
こうして改めて見ると、
湊……黒の浴衣、すごく似合ってる。
カッコイイ……。
あたしは水色の浴衣にピンクの帯をして、メイクも髪も、奈乃に可愛くしてもらったのにな。
「湊のやつ……可愛いとか一言も言ってくれないし」
文化祭っていう大イベントなのに、このまま何事もなく終わりそうな気がする。
カップルらしく、手を繋いで校内とか一緒に回りたかったのにな。
うちのクラスのやきそばが、湊のせいで予想以上に繁盛してるから、忙しくて休憩もバラバラだし。
でも、みんなと楽しい時間を過ごせてるから、まぁいっか。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
