そのとき、後ろから声が聞こえた。
「おーい、奈乃っ」
振り返ると、教室のドアのところから琥都が呼んでいた。
「下で、野菜切るの手伝って」
「うんっ。ちょっと行ってくるね、結雨ちゃん」
奈乃は、缶ジュースを机の上に置いて、琥都のところに駆け寄る。
「奈乃だけ?あたしは手伝わなくていいの?」
「あー、快が、奈乃だけ呼んでこいって」
琥都は頭を掻きながら、気まずそうに答える。
「それってさぁ、あたしが野菜切るの下手くそだってこと?」
あたしが目を細めると、琥都は半笑いで答える。
「いや、俺は何も言ってないから。何も言ってない」
「もぉ!快のやつ~」
下手で悪かったわね。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
