「あの頃は……ここでどんなに泣いても……朝になっても、ひとりぼっちだった……」
奈乃は、琥都に頭を撫でられながら、自分の胸元をぎゅっと掴む。
「でもいまは……心配して、探しに来てくれるみんながいるんだね……」
「そうだよ、奈乃っ」
あたしがニコッと微笑むと、
涙を流しながらも、奈乃は笑顔を見せてくれた。
奈乃の命は、奈乃のものだよ。
だけどね、
あたしたちにとっても、大事なんだよ。
もしまた、死にたいと思うことがあっても。
思い出して。
「これから何があっても、ひとりで抱え込まないで」
「ん……」
ひとりで終わらせようとしないで。
何でも話して。
頼ってくれていいんだよ。
だって、あたしだって奈乃に助けてもらってる。
誰かに頼るのも、勇気がいることだけど。
でも、あたしたちまだ、
たったひとりじゃ不安定だから。
まだ大人にはなれないから。
支え合って、助け合って、
なんとか踏ん張って。
悲しい世界でも、頑張って生きてこうよ。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
