恋する僕らのひみつ。





奈乃は、あたしから視線をそらす。



「でも、あのノート見たら……結雨ちゃんだって奈乃のこと、おかしいって思うよ、きっと」



自分を傷つける人間の顔を浮かべて、



“消えろ”という文字を数え切れないほど書いて。



奈乃は、頭の中で

何度消したいと願っただろう。



いじめる人間たちも。

傷つけられた記憶も。



「あたしは、奈乃がおかしいなんて思わない」



そうやって奈乃は、



壊れそうな心を、自分なりに必死に守ってたんだと思うから。



その行動が、正しいか間違ってたかなんて、



あたしには重要じゃない。



人が何て言おうと、あたしには関係ない。



あたしにとって大事なのは、



心に深い傷を負った奈乃が、



どうしたら、その傷を治していけるかなって。



どうしたら、癒してあげられるのかなって。



「大丈夫だよ。奈乃はいまも優しい心のままだから」



「結雨ちゃん……」



いままで、奈乃の過去は知らなかった。



でも、いまの奈乃がどんな子かって、あたしはちゃんと知ってる。



いじめられて、死にたいくらい苦しんで。



それでも頑張って生きてきて。



傷は負ったけど、壊れてなんかない。



優しい心のままだよ。