【結雨side】
公園から琥都のあとを追いかけて、
あたしたちはいま、14階建てのマンションのエントランスホールにいる。
「ねぇ、琥都。ここって……」
琥都は、エレベーターのボタンを押すと、あたしの目を見てうなずいた。
ここは、奈乃が住んでいるマンションだった。
4人でエレベーターに乗りこみ、最上階まで上がっていく。
エレベーターを最初に降りた琥都は、非常階段でさらに上へと向かう。
琥都のあとを追いかけて、あたしたちも階段を上がっていくと、最後のドアが見えた。
おそらく屋上に続くドア。
もしかして、ここに?
琥都の言葉の意味が、やっとわかった。
“奈乃は、どこにも行ってない”
琥都がそのドアを開けると、そこは思った通り屋上で、
少し離れた先に見えたのは、屋上の縁に座っている奈乃の後ろ姿だった。
風に揺れる、長くてふわふわな髪……間違いなく奈乃だった。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
