もしかしたら奈乃が戻ってくるかもしれないからと、
琥都は、奈乃の母親に家で待つように頼んだらしい。
夜明けまでに奈乃が家に戻らなければ、母親は警察に捜索願を出すと言っている。
コンビニ、駅前、学校の周りなど、奈乃が行きそうな場所を探したけど、
どこにも奈乃はいない。
「湊……ハァ、ハァッ……」
結雨は赤信号の前で立ち止まり、息を切らしながら膝を両手で押さえた。
「このまま……奈乃が見つからなかったらどうしよう……」
不安そうな結雨は、声を震わせる。
「見つかる。絶対に」
俺は結雨の頭をくしゃっと撫でた。
「俺たちが見つけてやんなきゃな」
「……うん」
ふと見上げた夜明け前の空。
雲間からひとつの小さな星が見えた。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
