家を出た俺たちは、静まりかえった真っ暗な道を走っていく。
星の見えない夜空。
涼しい夜風が頬を撫でていく。
奈乃が家にいないと気づいたのは、
看護師の仕事をしている奈乃の母親が、夜遅く家に帰ってきたときだったらしい。
奈乃が母親とふたり暮らしだったことも、俺はこのとき初めて知った。
奈乃は部屋にケータイも財布も置きっぱなしだったという。
奈乃の母親から琥都に連絡があり、琥都からの連絡で俺たちも奈乃がいなくなったことを知った。
琥都は快にも連絡をして、ふたりもいま手分けして奈乃を探している。
こんな真っ暗な街の中、どこに行ったんだよ。
川の手前、左右にオレンジ色の街灯が並ぶ坂道が見えてくる。
「ハァッ、ハァッ……」
俺も結雨も息を切らしながら走り続け、必死に奈乃を探した。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
