ファーストフード店に1時間くらいいた俺たちは、そこから近い場所にあるカラオケ店にやってきた。
「ねぇ、奈乃。一緒に歌お?」
「うん。何歌う?」
結雨と奈乃は奥のソファに並んで座り、ふたりで楽しそうに曲を選んでいる。
じゃんけんで負けた琥都と快は、廊下にあるドリンクバーに5人分のジュースを取りにいった。
俺はカバンを枕にしてソファの上に寝っ転がる。
「湊は?歌わないの?」
「ふたりで歌えよ。俺はあとで適当に」
「あっそ」
結雨がそっけない返事をすると、隣にいる奈乃が俺の顔を見てニコッと笑った。
「湊くん、歌すごい上手いもんね」
「湊の長所それしかないからねー」
おい、待て。
彼氏に向かってなんだその言い草。
もっと他にあるだろ。
「おまえ、ホント可愛くねぇよな」
寝っ転がったままの俺はため息まじりにつぶやくけど、結雨は奈乃と曲を選ぶのに必死らしい。
「あ、奈乃。この曲にしよ?」
「いいよぉ」
聞いちゃいねぇ。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
