高2の秋。
澄んだ空気で空が高くなり、空一面には細かい雲片が広がるうろこ雲。
10月に入ると、吹き抜ける風が一気に涼しさを帯びた。
放課後の帰り道。
その日はバスケ部が休みで、
俺、結雨、琥都、奈乃、快のいつもの5人で遊ぶことになった。
「腹減った」
俺がボソッとつぶやくと、快が後ろから俺の肩を抱き寄せる。
「なに食う?湊ちゃんのおごりねー」
「はぁ?ふざけんなよ。快のおごりな」
男3人並んで前を歩いているその後ろを、結雨と奈乃が楽しそうに話しながら歩いている。
「もしかして今日は結雨とデートしたかったぁ?」
快がニヤニヤした顔で訊いてくる。
「なんも言ってねぇだろーが」
「そんで、毎晩ふたりで一緒に寝てんの?」
琥都も面白がって、快と一緒に俺をからかってくる。
「んなわけねーだろ」
「照れちゃって~。結雨ちゃんのこと愛してるんですってねぇ。かーわーいーいーっ」
「快……おまえマジでウザい……」
結雨と一緒に住んでることを、こいつらに話したのがそもそも間違えだった。
結雨と付き合い始めて、3ヶ月が経とうとしていた頃。
事件は起きた。