湊の背中に抱きついたまま、あたしはとうとう言ってしまった。
湊が好きだって、言ってしまった。
湊は黙ったまま何も答えない。
「なんとか言ってよ……」
「おまえ……いまなんつった?」
「だから……湊のこと好きになっちゃったのっ」
湊は再び黙りこんでしまった。
この瞬間、後悔の波が押し寄せてくる。
なんで黙ってるの……?
なんとか言ってよ。
あたし、やっぱり嫌われたのかな。
湊は自分を好きだと言ってくる女の子のこと、大嫌いだもんね。
あたしのことも嫌いになった?
絶対そうだ。そうに決まってる。
この沈黙が怖い。いますぐ逃げ出したい。
怖いよ……どうしよう。
すると、沈黙を続けていた湊が静かに口を開いた。
「いまのやつ……聞かなかったことにする」


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
