いま……なんて言った?
あたしの聞き間違いじゃないよね?
だって昨日ちゃんと耳掃除したし、耳の聞こえ具合はいつも以上に快調なはず。
“俺の結雨に触んなっ”
いま言ったよね?
確かに言ったよね?
俺の結雨……むふふ。
俺の結雨……俺の……。
頭の中で、湊の言葉が何度も繰り返される。
どうしよう。ニヤケが止まらない。
うれしすぎて、大声で叫びたいくらい。
「……結雨?おいっ」
湊の声にハッとしたあたしは、周りをキョロキョロと見まわした。
「あれ?にっくんは?」
いつのまにか、にっくんが教室からいなくなっていた。
「は?もう行っただろ。おまえいま、なに見てたんだよ?」
ウソ……。
湊の言葉に浮かれすぎて、その後のやりとり全然聞いてなかった。
それにしても、謎すぎるんだけど。
なんでいきなり、にっくんはあたしを抱き締めたんだろう。
「おまえ、今度はアイツと付き合うことにしたのか?」


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
