「日直なの?俺も手伝おっか」
にっくんは黒板消しを手に取ると、あたしと一緒に黒板を消し始めた。
「ありがと。でも用があって来たんじゃないの?」
「うん、まぁ」
「なぁに?」
彼は黒板をきれいに消し終わると、あたしの顔をちらっとみたあと視線を落とした。
「一色……」
「うん」
「あのさ……」
彼はあたしの瞳をまっすぐに見つめる。
「ふふっ。真剣な顔して、どしたの?」
そう訊いたと同時に、彼はあたしの肩に手を置き、
そのままあたしの体を引き寄せて抱き締めた。
「ちょっ……」
え……?
「にっくん……?」
なんであたし……。
抱き締められてるの?
突然の出来事に驚いたあたしは、大きく目を見開いたまま動けずにいる。
「一色、お願いがあるんだけど聞いてくれる?」
耳元で聞こえた、彼の少し甘えたような声。
「お願いって、な、なんのお願い?とりあえず離して……」
あたしが体を離そうとしても、彼はあたしを強く抱き締めたまま離してくれない。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
