【結雨side】
“湊のことが好き”
そう気づいたときから、もうすぐ1ヶ月が経とうとしていた。
いままでのことを知った奈乃、琥都、快だけは、あたしたちが付き合っていないことを知っているけど、
校内ではいまも、あたしたちはカップルだと思われている。
「ねぇ、湊」
夜遅く、リビングのソファに座っていた湊とあたしは、テレビを見ていた。
「あたしたち別れましたっていう宣言、周りにしなくていいの?」
「……校内放送でもすんのか?」
「いや、それはしないけどっ!周りにあたしと付き合ってると思われたままでいいの?」
「ん、別に」
別にって……。
それでもいいってこと?
そんなこと言われたら、ちょっと期待しちゃうんだけど……。
「いいの?なんで?」
と、訊くあたしの声も、
どこかうれしさを隠しきれなくて。
でも、口を開いた湊からは、何ともそっけない答えが返ってきた。
「彼女いると告られることねぇからラクだし」
「あ……だよね」
ほんの一瞬でも淡い期待を抱いた自分に、腹が立つ。
うれしい答えなんて返ってくるはずないのに。
それより、あたしと別れたっていう噂が広まったら、
湊はまた女子から告白されまくりの日々に戻るんじゃ……?
想像しただけでつらい。
嫌だ。そんなの絶対……嫌。
叶わない恋だとわかっていても、湊をひとりじめしたい気持ちを抑えられなくて。
胸がぎゅっと痛む。
湊をあたしの……あたしだけのものにしたいよ……。
「なぁ」
「なに?ちょっ……」
隣に座っていた湊がゴロンと寝っ転がって、あたしの膝の上に頭を乗せてきた。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
