「そんなに結雨のこと愛してんのに、また他の男に取られてもいいのかよぉ?」
そう言って快は、ニヤニヤしながら人差し指で俺の頬をつつく。
「あのなぁ、だから俺は……」
「ホント、素直じゃないよなー湊は。どーしたもんかね?」
琥都はため息をついて、胸の前で腕を組む。
「どぉしましょうかねぇ~。後悔しても知らないよ?湊ちゃん」
俺は、頬をつついてくる快の手を振り払った。
「おまえら勝手に言ってろ」
「ねぇ、湊ちゃん?自分の胸に手をあてて、よ~く考えてみな?結雨の父親との約束がなかったら、結雨のこと守ろうと思わなかったか?大切に想ってなかったか?」
快に言われたとおり、自分の胸に手をあててみる。
「そこは素直に聞くんだな。胸に手をあてるとか、どーでもいい部分」
「うるせーよ、琥都」
あの約束がなかったらなんて、そんなこと一度も考えたこと……。
そのとき、遠くからくぼっちの叫ぶ声が聞こえてきた。
「湊、琥都、快ーっ!さっきからなにサボってんだー!ちゃんと走れー!単位やらんぞー」
……担任のくせに鬼だな。
いつまで走らせんだよ……ったく。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
