『泣くの我慢しても何もいいことねぇぞ』
『いまは……あたしがシッカリしなきゃダメなの。お母さんが泣いてるから……』
おまえは、いつも人のことばっかり心配するよな。
だから俺は、おまえのことが心配でたまらなくなる。
『おばちゃんに心配かけたくねぇなら、ここで泣けよ。そんでまた、頑張れ。おばちゃんの前で笑え』
『湊……』
『俺の前で強がんな』
『……湊……向こう向いてくれる?』
横になったまま体の向きを変えて、結雨に背を向けた。
結雨は、俺の背中にしがみつく。
『……っく……ひっく……』
俺の背中で、結雨は泣き出した。
『……何も言えなかった……ううっ……お父さんに何も……っく……』
吐き出せ、全部……。
俺が全部聞いてやるよ。
『大好きも……ありがとうも……っく……ひっく……お父さんに……言えなかったぁ……』
行き場のない結雨の気持ちを聞いているうちに、俺も涙がこぼれて頬を伝ってく。
『もぉ逢えなくなるってわかってたら……ちゃんと言えたのに……』
泣いてる結雨に気づかれないように。
下唇を噛みしめて声を押し殺し、静かにそっと涙を流した。
『どぉして……どぉしてお父さん死んじゃったの……?絶対に元気になるって、そう言ってたのに……』
ごめんな。
最後まで本当のこと言えなくて、ごめん。
心の中で、結雨に謝り続けた。
『湊……っく……ううっ……』
泣きじゃくる結雨に、俺も涙を止められなくて。
結雨の気持ちを考えると、苦しくてどうしようもなかった。
『……湊……助けて……っ』
『……っ』
『助けて……』
一晩中、結雨は泣いた。
俺の背中にしがみついたまま、泣き続けた。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
