おじちゃんの願い……。
最後まで結雨の笑顔を見たいという願いは叶えられた。
だけど本当にこれでよかったのかはわからない。
それどころか俺は、あとになって後悔することになった。
結雨の母親が、葬式の準備に終われていた夜。
結雨は俺の部屋にいた。
ふたり並んで、ベッドの上に横になっていた。
結雨はずっと部屋の天井を見つめたままだった。
『結雨……大丈夫?』
『うん、大丈夫』
父親が亡くなったあとも結雨は、憔悴しきった母親の前では泣かないように、必死に明るく振舞っていた。
本当は誰よりも、つらく悲しいはずなのに。
『おまえ無理すんなよ』
『え?無理なんかしてないよ?』
俺の前でまで、明るく振舞わなくてもいいのに。
『泣いてねぇじゃん、一度も』
俺は結雨の横顔を見つめる。
『俺しかいねぇし、泣いてもいーぞ』
『……大丈夫だってば』
強がった言葉とは反対に、結雨の声は細く震えていた。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
