「その約束をした日からしばらくして、おじちゃんは亡くなった」
琥都と快は、黙ったまま俺の話を聞いていた。
「結雨は結局……おじちゃんが亡くなるまで、本当のことを知ることはなかった」
――おじちゃんが亡くなる数時間前、結雨と結雨の母親は病室にいた。
元気になるどころか、日に日にどんどん弱っていく父親を見て、結雨は不安がっていた。
それでも結雨の両親も、俺も、結雨に本当のことは言わなかった。
必ず元気になる……そうウソをつき続けた。
夜遅く、俺は父親とともに病室に行き、結雨を迎えにいった。
その日、結雨の母親が病室に泊まることになっていて、結雨はうちの家で預かることになっていたからだ。
『お父さん、また明日来るね』
『あぁ、また明日な……結雨』
結雨はいつものように笑顔でおじちゃんに手を振り、病室をあとにした。
それが、結雨とおじちゃんが交わした最後の会話になった。
明日なんて……なかった。
それから数時間後の夜明け前だったと聞いた。
結雨が俺のベッドで眠っている間に、おじちゃんはこの世を去った。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
