『なぁ、湊。おじちゃんの病気が治らないことを結雨は知らないんだ。結雨には黙っててくれるか……?』
俺はただ、うなずくことしかできなかった。
『最期まで結雨の笑顔を見たいんだ』
大好きな父親がもうすぐ死んでしまうと知ったら、
結雨の心から笑った顔は、もう二度と見られないから。
おじちゃんの考えてることは、まだ幼かった俺でもすぐに理解できた。
『湊、ごめんな』
腕で目元を必死に拭った。
結雨が戻ってくるのに、泣いていたらダメだと思った。
おじちゃんの最後の願いを、叶えてあげたい。
だから結雨には、真実を隠し通すしかなかった。
『おじちゃん……俺になにかできることある?』
俺は涙を拭いて、おじちゃんの顔をまっすぐに見つめた。
『じゃあ……おじちゃんがいなくなったら、おじちゃんのかわりに結雨のこと守ってくれるか?』
おじちゃんのかわりに、俺が結雨を。
俺が結雨を守る……?


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
