湊は、部活が終わってそのままうちに来たらしい。
荷物も何も持ってきてない。
そりゃそうか。
何か必要なものがあれば、隣にある自分の家に取りにいけばいいんだから。
『湊……約束して?』
『あ?』
『あたしたちが一緒に住むこと、二階堂先輩にはぜーったい言わないでね?』
『あぁ』
『てか、誰にも言わないでよ?』
『言わねぇよ。言ったところで俺に何の得があんだよ』
湊はケータイを床に放って、立ち上がる。
『どこ行くの?』
『うるせーなー。シャワー浴びんだよ』
あたしをその場に残したまま、湊は部屋を出ていった。
『アイツはホント……何様なのよ……』
あたしはため息をこぼしながら、つぶやいた。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
