あたしは壁にもたれて、ため息をついた。
「ハッキリと本人に聞いたわけじゃないけど……」
この話、他の人に話すのは初めてだ。
「たぶん、湊は……自分がお母さんに捨てられたって思ってるんだよね」
「捨てられた?」
「小さい頃ね、湊のお母さん出て行っちゃったんだ。男の人と暮らしてる」
「そうなんだ……」
「湊が人に冷たい態度とるようになったのも、お母さんのことがあったあとなんだよね」
あの頃から湊は、人に……特に女の子に対して、冷たい態度をとるようになった。
その中でも、自分を好きだと言って近寄ってくる女の子には、いっそう冷たく接していた。
「いまは昔ほどじゃなくなったけどさ」
だから余計に怖い。
あたしが湊のことを好きだって、もしも湊にバレたら……
冷たくされるに決まってる。
いままでどおりでは、絶対にいられない。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
