「いいっすね、バカは風邪引かなくて」
「その言い方っ」
憎たらしい口だこと。
「ねぇ、病院に行く?」
「いい」
湊は体の向きを変え、あたしに背を向けてしまった。
あたしは横になっている湊の背中を見つめる。
「じゃあ、あたしも学校休む。湊のこと心配だし……」
「邪魔。寝てりゃ治る」
「でも、家に誰もいなくなっちゃうよ?」
「へーき」
「でも……」
「しつけーな」
湊の冷たい口調に、あたしは口をとがらせて黙り込む。
そんな言い方しなくてもいいじゃん。
なんか、いつも以上に冷たい気がする。
違う。そうじゃない。
いつもと違うのは、あたしの方だ。
湊のこと……意識しちゃってるからだ。
冷たく感じるのも、そういうのにいちいち敏感に反応しすぎてるだけだ。
「たいしたことねーから心配すんな。もう寝かせろよ」
「ホントにひとりで大丈夫?」
「あぁ。ちゃんと学校行けよ?」
……心配するに決まってるじゃん。バカ。
湊が冷たいのは、いつものことなのに。
いつもと違うのは、あたしの方だってわかってるのに。
それでも、なんか……すっごく落ち込む。
湊の一言、仕草ひとつで。
こんなに悲しい気持ちになるんだよ。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
