「復讐するのは、もうやめる」
あたしの言葉を聞いて少し黙り込んだあと、湊は言った。
「アイツになんか言われた?」
「……やり直したいって」
「そっか……」
「先輩の過去のこととか、話してくれて……」
話の途中で湊は遮って言った。
「アイツ、今度は本気らしいよ?おまえのこと」
「え……?」
あたしは湊の顔を見つめる。
「来瞳先輩が言ってた。アイツ、結雨のこと本気だって」
来瞳先輩が、湊にそんな話してたなんて思わなかった。
「よかったじゃん。アイツのこと、まだ好きなんだろ?」
湊……あたしは……。
「復讐も半分はうまく言ったじゃん。浮気したことアイツに後悔させて、振り向かせるってやつ」
あたし、気づいちゃったんだ。
「復讐のゴールは、おまえがアイツを振ることだったけど。こうなることも、なんとなく予想してたし」
「そ、湊……あのね……」
「アイツとヨリ戻したんだろ?復讐も終わりなら、俺たちの関係も終わりってことだな」
復讐の終わりは、あたしたちのヒミツの関係も終わることを意味する。
あたしたち……ただの幼なじみに戻るんだ。
「……彼氏のフリしなくていいと思ったら、せいせいする?」
「あたりめーだろ」
胸がズキッと痛んだ。
「そぉだよね。いままでごめんね……っ」
「……なに泣いてんだよ?」
泣きたくないのに、涙が止まらないんだもん。
どうしても、止められないんだもん。
「よかったじゃん」
そう言って湊は、下を向いて涙を流すあたしの頭をポンポンと優しくたたいた。
傷つきたくなかった。
大切すぎて、失いたくなかった。
ねぇ、どうすればいいの……?
言えるわけない。
この想いを口にしたら、いままで通りにできなくなる。
きっと壊れてしまう。
こんなに近くにいるのに。
本当の気持ち、何も言えない。
言えないよ……。
あたし、湊が好き――。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
