傘もささずに激しい雨の中、向こうから湊が走ってくる。
「湊……どぉして……」
呟いた小さな声は、雨音にかき消された。
湊が走ってくるのを見て、いっそう涙があふれてくる。
「ハァ、ハァ……やっと見つけた」
息を切らして走ってきた湊は、あたしの前に立つ。
「帰り遅ぇから……探したじゃん」
「……ごめん」
探しに来てくれるなんて思わなかった。
「ケータイも出ねぇし、心配すんだろ」
「充電……切れちゃって……」
声が震えてうまくしゃべれない。
「おまえ……泣いてんの?」
「……泣いてないよ」
あたしは顔を背ける。
「アイツ……どうだった?」
「湊の言ってたとおり、具合悪いのはウソだった」
「……やっぱりな」
「ねぇ、湊」
あたし、もう終わりにするね。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
