――――――――……
先輩の家をあとにして、あたしはひとり帰り道を歩いていた。
辺りはすでに薄暗く、湿気を含んだ風が頬を撫でていく。
「……っ」
さっきからずっと、涙が止まらない。
胸が苦しくて、どうしようもない。
二階堂先輩は、過去のことをすべて話してくれた。
真剣に。ひとつひとつ。
先輩の想いは、痛いくらい伝わってきた。
だけど、あの瞬間。
“結雨、好きだよ”
その言葉を聞いたとき、あたしは気づいてしまった。
涙が止まらないのは、そのせいだ。
「……っ……っく……」
知りたくなんてなかった。
だって、傷つくのは目に見えてる。
こんなこと、想像もしてなかった。
あたしの復讐は、もう終わりにしなくちゃいけない。
もう終わりにしなきゃ。
この想いに、気づいてしまったから……。
上から水滴が落ちてくるのを感じて空を見上げると、雨がポツポツと降りだしていた。
夕飯までに帰ると言ったのに少し遅くなってしまったため、家に電話しようとケータイを取り出すと、充電が切れていることに気づいた。
雨はすぐにザーザー降りになり、あたしの体を濡らしていく。
その場に立ち止まったまま、雨に打たれていた。
……雨が涙を隠してくれてるみたい。
この想いも、隠し通せるかな。
見て見ぬフリ、できるのかな。
どうして、こんなことになっちゃったんだろう……。
泣きながら空を見上げていると、雨の音にまじって声が聞こえた。
「結雨……っ」


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
