恋する僕らのひみつ。



そのとき、



――ガチャ……。



玄関のドアが開いた音が聞こえたのと同時に湊の姿が見えた。



『あら、湊くん。おかえりなさい』



キッチンから顔を出したお母さんは、湊の元に駆け寄っていく。



『おばさん、今日からお世話になります』



『なによ、もう。急に改まっちゃって……。自分の家だと思って気楽に過ごしてね』



『ありがと、おばさん』



そんなお母さんと湊のやりとりを、あたしはリビングのソファから睨みつけるようにして見つめていた。



『湊くんの部屋、ここね。好きに使っていいわよ』



湊が使う部屋は、お父さんの部屋だった場所。



いまはもう、ほとんど物は置いていない。



湊が床に布団を敷いて寝るには、十分な広さだ。



お母さんが夕飯の準備のためキッチンに戻ると、あたしは湊のいる部屋に向かった。