「えっ……?先輩……ちょっと……」
あたしは離れようとするけど、先輩は強く抱きしめてあたしの体を離してくれない。
「ごめん」
耳元で囁かれた、先輩の優しく低い声。
「ごめん、結雨……」
「具合悪いってウソだったんですか?」
「そうでも言わないと、結雨は来てくれないと思って」
先輩と別れてから、何度も電話があった。
そのたびに、胸が痛んだ。
でも復讐すると決めたのに、その気持ちが揺らいでしまいそうで。
先輩からの電話には、ずっと出なかった。
「結雨ともう一度ちゃんと話したい」
「あたしはもう、先輩と話すことなんて……」
「やり直したい」
先輩はあたしを抱き締めたまま、静かにつぶやいた。
「結雨ともう一度、やり直したい」


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
