――――――……
さっきの湊……いつもの湊じゃなかった。
“行くなら行け”
あんな瞳で見つめられるとは思わなくて。
胸の奥が苦しかった。
湊は、あたしがまた傷つくと思って、心配してくれてるんだよね?
だけどね、湊……。
あたし……あたしは……。
家を出てから15分ほど歩いたあたしは、二階堂先輩の家の前にやってきた。
白を基調とした、モダンなデザインの新しい2階建ての一軒家。
家の前でケータイから先輩に電話をかけると、
カギは開いてるから勝手に入っていいと言われ、電話は切れた。
「おじゃまします……」
そう呟いたあたしは玄関から中に入った。
家の中はしんと静まり返っている。
先輩が言っていたとおり、家族の人は本当に留守みたい。
あたしは、先輩の部屋がある2階へと階段を上がっていく。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
