恋する僕らのひみつ。




「行きたいなら行けよ」



「湊……」



俺は廊下の壁に右手をつき、結雨の前に立ちはだかった。



「……俺が引き止めんのは、これが最後だ」



少しの間、黙り込んで見つめ合う俺たち。



先に口を開いたのは、結雨だった。



「……通して?湊」



「行くなら行け」



俺を退けて行けよ……。



何か言いたげな結雨の瞳。



「…………」



なんで引き止めるのか、そう言っているかのような瞳だった。



結雨の復讐は、失敗に終わる……そんな予感がした。



いまの二階堂の気持ちを知ったら、



結雨はきっと、アイツのとこに戻るはずだから。



行かせたくねぇって……思った。



ここで結雨がアイツのとこに行ったら、



アイツは、結雨を離さないだろう。



復讐が失敗に終わるのと同時に、俺たちの関係も終わる……。



ヒミツだった偽物カップルは、



ただの幼なじみに戻るんだ。



「湊」



結雨は、壁についた俺の右腕を掴み、そっと下におろした。



「……行ってくるね」



静かにつぶやいた結雨は、俺の横を通り過ぎ、そのまま家を出ていった。