恋する僕らのひみつ。




そのあと自分のクラスに向かうと、教室の前の廊下で奈乃が待っていた。



「湊くんっ」



「おう」



奈乃が俺のところに駆け寄ってきた。



「どうだった?やっぱりラクガキも水もあの人の仕業だったの?」



「あぁ。開き直ってたけど」



「えっ?反省してないの?なんで結雨ちゃんを?」



俺は、さっきの話を奈乃に説明した。



「ホント最低……許せない……」



青ざめた顔色の奈乃は、下唇をきゅっと噛みしめた。



「結雨には黙ってて」



「あの人が犯人だったってこと、結雨ちゃんに言わないの?」



「知らねぇほうがいーだろ」



「嫉妬して……あんなひどいことするなんて……」



「だよな。でも……因果応報ってやつ、俺は信じてるから」



自分のしたことは、なんらかの形で返ってくる。



人を傷つけた人間が、幸せになれるはずねぇんだ。



「奈乃だって、そう思いたいよ?でも人生って、そんなにうまくいかないよ……」



そう言って奈乃は、悲しげな表情でうつむいた。



「奈乃……?」



奈乃の表情、言葉……なにかあったんだろうか。



「あ、上履きのおつり返さないとねっ」



「え?あぁ。頼んで悪かったな」



「ううん。上履きのこと結雨ちゃんには何てごまかすの?」



「ま、適当に?」



そういえば、来瞳先輩にもうひとつ聞くのを忘れていた。



奈乃のノートのこと。



あれも来瞳先輩の仕業なのか?



でも、やっぱり来瞳先輩が結雨を傷つけていたのは二階堂が関係していたわけだし、



奈乃とは何も関係ない。



あのノートのことは、また別の問題なのか?



「あのさぁ、実は俺……前に奈乃のノート……」



そう言いかけたとき、廊下の向こうから大きな声が聞こえてくる。



「おーはーよーっ」



こっちに走りながら手を振ってやってくるのは、結雨だった。