「痛いんだけど」
俺は掴んでいた手首を離した。
生徒会室のドアを閉めた俺は、ドアにもたれかかり来瞳先輩をにらみつける。
「ちゃんと話すまで、ここから出さねぇかんな」
「……頼まれたのよ。やれって」
「あ?誰に?」
「朝霧くんのことを好きな女の子たちに。彼女がムカつくからって」
「へー。名前は?」
「……さぁ?知らない」
「ウソつくんなら、もっとまともなウソつけよ。バレバレだっつーの」
もう俺にウソをついても意味がないと気づいた先輩は、観念したように大きなため息をついた。
「なんであんなことした?結雨にどんだけ酷いことしたかわかってんのか?」
俺は、怒りを堪えるのに必死だった。
「ふふっ。あの子がキライなの」
「あ?」
「存在がウザいの。ホント消えて欲しい。それだけ」
そう言って先輩は、ニコッと不気味な笑顔を浮かべた。
「なに言ってんだ?結雨があんたに何したっつーんだよ?」
先輩は笑顔のまま何も答えない。
結雨と来瞳先輩の繋がりは、アイツしかない。
「二階堂が……関係してんのか?」
「さぁ?」
「それしかねーだろっ!ちゃんと答えろよっ」
「ふふっ。ムキになっちゃって。あの子の彼氏だもんね。心配?朝霧くん、かぁわいっ」
「……ふざけんな」
俺はいま、必死に怒りを抑えてんだよ。
男だったら殴り飛ばしてやんのに。
「まさか二階堂とグルで結雨に嫌がらせしたのか?」
「想像力、豊かなのね。残念ながらハズレ」
コイツ……開き直ってやがる。
結局、コイツひとりの犯行か。
「そもそも、結雨が二階堂と付き合ってるときに浮気してたのは、あんただろーが!」
結雨がどんだけ悲しんだか、わかってんのか?
「なんであんたが結雨に嫌がらせすんだよ?浮気されて傷ついたのは結雨のほうなんだぞ?」
結雨がどんな想いで
どれだけ泣いたか
「言いたいことは?それだけ?」
「……あんた、二階堂が好きなのか?」
俺の質問に、先輩は落ちついた口調で答える。
「そうよ。理央が好き」
「だったらなおさら、おかしな話だろ。結雨はもうアイツと別れたんだぞ?結雨にかまわず、二階堂と勝手に仲良くやってろよ」
「そうしたかったけど……あの子が邪魔した」
「は?」
結雨がいつ?
邪魔なんて、してねぇだろーが。
「理央は……最初から私のモノだったのに」


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
