今日も俺は、朝早くに学校に来ていた。
まだ誰もいない朝の教室を見張り、
クラスのやつらが何人か登校してきたら、1階にある下駄箱の見張りへと移動した。
机、ロッカー、下駄箱……せめて、結雨の持ち物が狙われないように見張りを続けている。
下駄箱から少し離れたところ、俺は柱の後ろに隠れて見張っていた。
犯人が姿を現せばいいけど。
証拠が欲しい。
言い逃れできないような、確実な証拠。
ラクガキされたあの日……。
俺たちのクラスは音楽の授業で、教室には誰もいなかった。
クラス女子ふたりの証言から、
音楽の授業前、最後に教室を出たのは、忘れ物を取りに戻ってきた琥都だと判明した。
琥都にそのことを聞くと、確かに教室を出たのは最後だったと言っていた。
そのときはまだ当然、ラクガキはされていなかったと。
音楽の授業中、トイレと言って抜け出した快にも話を聞いた。
トイレにしては、ずいぶん長いこと戻ってこなかった快。
俺の予想どおり快は、トイレに行ったあと、ある行動をとっていた。
音楽室に戻る途中、廊下の窓から中庭に迷い込んだノラ猫を見つけたらしい。
重要な証言は、ここだ。
中庭で猫とじゃれていた快が、何気なく2年3組の教室のほうを見ると、
誰もいないはずの教室で、ある人物の姿を見たような気がしたと。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
