学校に着いて、あたしは真っ先に体育館に寄った。
「あれ?いないや……」
バスケ部の朝練でもないとすると……なんだろう?想像もつかない。
朝苦手な湊が、あたしが起きる前に家を出るなんて。
そのあとあたしは、教室に向かった。
キョロキョロと教室内を見まわしたけど、湊の姿はなかった。
「結雨ちゃん、おはよぉ」
奈乃があたしのところにやってきた。
「おはよっ。奈乃」
奈乃の後ろから琥都も歩いてくる。
「あれ?今日は湊と一緒じゃないのか?」
琥都の質問に、あたしは小さくうなずく。
「ふたりとも、湊のこと見てない?」
「見てないけど?」
奈乃も琥都も、湊を見かけていないらしい。
朝からどこに行ったわけ?
そして、チャイムが鳴ると同時に、湊がしれっと教室に入ってきた。
「湊っ!どこ行ってたの?」
「別に」
「別にって……」
湊を問い詰めようとしたとき、明るい声とともに快が教室に入ってきた。
「グッモーニーン♪」
すると、すぐに後ろから担任のくぼっちもやってきた。
「グッモーニーン♪」
あんたら挨拶まで一緒かい。ホント似てるわ。
「はいはい、席につけ~」
湊に聞くタイミング逃しちゃった。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
