恋する僕らのひみつ。




校内で彼女の顔は何度も見たことがあった。でも名前までは知らなかった。



二階堂先輩の女友達のひとりだと、特に気にはしていなかった。



あの日、保健室で先輩とキスしている彼女を見るまでは。



「あの人って、女子バスケ部の人だよね?」



「あぁ。来瞳深珠」



……来瞳深珠。



彼女の名前を知った。



彼女のことを知りたいと思う気持ちと、知りたくないと思う気持ちで、ずっと複雑な想いだった。



「……来瞳先輩って、どんな人?」



「さぁな。よくわかんね」



思い出したくなくても

一瞬でよみがえってくる



保健室での光景



「確かにアイツとは昔から仲いいみてぇだけどな。アイツの元カノっていう噂もあるし……」



「元カノ……」



別れたあとも、あたしと付き合ってる間も



ふたりの関係は……体の関係は続いてたってことだよね。



「おまえ……大丈夫か?」



湊の瞳を見て、あたしは小さくうなずく。



先輩に恋をしていたあたしの“好き”という想いは、



あの日、先輩に裏切られて、どんな形に変わったのだろう。



付き合っていた頃の、



純粋な“好き”ではないことには、自分でも気づいてる。



あたしの心の中。



この感情は何なのだろう?



憎しみ?悲しみ?嫉妬?



それとも……。